この度、当院で発生した新型コロナウイルス感染症の院内感染については、皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。 当院を信頼していただいた多くの入院患者さんが感染され、甚大な苦痛を与えてしまいましたこと大変申し訳なく思っております。 基礎疾患及び新型コロナウイルス感染症に対して、最大限の治療を行いましたが、病態の進行が早く力及ばすお亡くなりになられました患者さん・ご遺族には、深くお詫び申し上げますとともに心よりご冥福をお祈りさせていただきます。このような結果となりましたことは、当院としましても、痛恨の極みです。 また、他の医療機関に転院していただいた患者さんとそのご家族にも大変な苦痛を与えてしまい、感染されていない患者さんにおかれましても、治療の延期、退院延期や面会禁止など、ご不便をおかけする状況になり、心よりお詫び申し上げます。 当院は、院内感染発生後の9月3日に福岡市を通じて、厚生労働省対策本部クラスター対策班に対し、感染源、感染経路の推定と感染拡大のリスク評価、及び院内感染対策支援を目的として専門家の派遣を要請し、9月8日から9月15日までの間、発生箇所を中心に詳細な調査を実施していただき、現在その報告を待っているところです。 また、その報告書の提出を受けて、外部有識者の意見も踏まえ、当院としての報告書を作成し、公表する予定としているところです。 しかしながら、報告書の作成、公表までには暫く時間を要することが考えられることから、現在までに判明しております事実に基づき、院内感染の概要、院内感染発生前後の感染防止対策等について、以下のとおりご報告を申し上げます。 1.院内感染(クラスター)発生の概要について当院は、第二種感染症指定医療機関(2床)として、令和2年2月19日に福岡県内で第1例目の新型コロナウイルス感染症の患者さんを受入、4月上旬からは1つの病棟をコロナ専用病棟へ転換し、これまでに186人(9月30日現在)の患者さんの受入、対応を行って参りました。8月28日、A病棟の患者さんに発熱・肺炎の症状が出たことから、新型コロナウイルス感染症の抗原検査を実施したところ陽性が確認されました。その後、発熱患者・濃厚接触者に対する抗原検査及びPCR検査を実施したところ、これまでに入院患者さん29名、職員21名の陽性(9月30日現在)が確認されました。 このため、皆様の安心を高め、安全を確認するために、保健所との緊密な連携のもと、9月7日から9月22日までの間、外来診療及び救急患者、並びに新規入院の受入を中止しました。その上で、入院患者さん全員、全職員にもPCR検査を実施したところ、全員の陰性が確認されたことから、外来診療及び救急患者、並びに新規入院の受入を9月23日から再開しております。 入院中の患者さんについては9月17日以降、職員については9月8日以降新たな感染者は確認されておりません。 2.感染経路の推定について感染経路については、初発症例が入院患者さんであることから、現時点では入院されていた患者さんが外部から持ち込まれたことによる感染が疑われるところですが、感染伝搬経路とともに厚生労働省対策本部クラスター対策班の報告を受けて改めてご報告したいと考えております。3.院内感染発生前後の当院の感染対策について当院は、高度急性期総合病院として、感染制御専門の資格を持つ医師、看護師等からなるチームを中心にこれまでも感染対策を実施してきたところです。さらに、今年2月の新型コロナウイルス感染症の患者さんの受入以降、通常の院内感染対策委員会に加えて、「臨時院内感染対策委員会及び感染制御部合同会議」をこれまでに45回実施し、院内の受入体制や感染防止対策等の周知徹底を各職場、各職員に実施してきました。また、4月20日には院内に「感染対策本部」を設置し、院長はじめ幹部職員・関係職員による会議を毎日2回開催し、情報共有や問題点、課題の解決に向けて対応してきました。 クラスター発生前に実施していた感染対策としては、
等を実施してきましたが、クラスター発生後は新たな取り組みとして、
4.今後の対応について上記1~3が現在までに判明している事実に基づく現状報告となりますが、当院は、高度急性期総合病院及び第二種感染症指定医療機関として、これまでも新型コロナウイルス感染症対策に最大限の対策を講じてきたところです。今後も更なる感染対策強化のため、保健所や他の医療機関等と連携しながら職員一丸となって取り組んで参ります。 改めまして、厚生労働省対策本部クラスター対策班の報告書の提出を受けて、外部有識者の意見も踏まえた、当院としての報告書を作成し、ご報告いたします。 今後もご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。 令和2年10月26日 独立行政法人国立病院機構 九州医療センター院長 |