2007年度のお知らせ

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術開始

腹部大動脈瘤に対する新しい治療方法であるステントグラフト内挿術を本年9月より開始しました。ステントグラフト内挿術の導入により、腹部大動脈に対する治療の選択肢が増え、より安全で確実な医療を提供できると考えております。

ステントグラフト内挿術とは?

ステントグラフトは、人工血管(グラフト)に針金状の金属を編んだ金網(ステント)を縫い合わせたものです。ステントグラフト内挿術は、このステントグラフトをカテーテル(プラスチック製のチューブ)の中に納めて太ももの付け根から血管の中に入れ、患部で広げて血管を補強するとともに動脈瘤の部分に血液が流れないようにする治療です(図1)。海外で既に広く普及している腹部大動脈瘤のステントグラフト(米国クック社製ゼニスAAAエンドバスキュラーグラフトなど)が本年7月に厚生労働省より承認され、当院でも本年9月よりこの治療を開始し、既に3例の手術を行いました。従来の手術方法は、全身麻酔下に開腹し腹部大動脈瘤を人工血管に置換するものですが、ステントグラフト内挿術は開腹手術と比較し、メスで切る部分が小さいため、患者の皆様の負担は小さく、歩行開始や経口摂取は早期に可能となり、入院期間の短縮が期待できます。高齢や併存疾患のために開腹手術が困難な症例に対しても可能な新しい治療法です。

どのような症例に行うのですか?

ステントグラフト内挿術の適応は、従来の手術と同様に破裂の危険性が高い最大径5cm(女性:4.5cm)以上の腹部大動脈瘤ですが、他の病気が理由で開腹外科手術を見合わせておられる方や高齢の方など従来の開腹手術が第1選択とはならない症例です。ただし、この治療では、正常部分の血管に人工血管を接合するためにステントを用いることから、正常部分の血管が曲がっていたり、十分な長さがない場合は治療ができません。また、太いカテーテルを用いますので、あまり細い血管でも治療ができません。従って、腎動脈からの距離や角度、動脈径などの解剖学的条件に一定の制限があります(図2)。


当院における治療の体制

日本でのステントグラフト承認に際して、腹部大動脈瘤の治療に携わる複数の学会が合同して、この治療を安全に実施するための基準を作り、施設や術者を認定しています。当院はその基準に適合した施設です。また、この治療の実施にあたっては、従来の開腹下の腹部大動脈瘤人工血管置換術の手術経験のみならず、ステント治療などの血管内治療の経験が必要です。当院では、既に自家製ステントグラフト内挿術でも多くの症例を経験している認定実施医3名で治療を行っています。

ステントグラフト内挿術を施行した1例

供覧している症例は87歳の超高齢男性で、肺気腫を併存しており、従来の開腹手術にはリスクが大きい症例でした(図3)。術後1日目より食事や歩行を開始し、術後合併症なく10日目に退院となりました。

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情報掲載日:2007年10月01日[月]

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