循環器内科

トピックス

心房細動に対するカテーテルアブレーション


1. 心房細動とは

心臓には、洞房結節という電気を作る部位があり、そこから規則正しく脈が作られ、刺激伝導系という電気の通り道を通ることで心臓全体に電気が広がり、心臓は正常に動いています(図1)。しかし、時に心房細動という、脈が乱れる不整脈が起きることがあります。心房細動で最も問題となるのは、心臓の中に血栓(血のかたまり)が非常にできやすくなることです。心房細動が原因で脳梗塞になった場合、最も重症かつ重度な後遺症を残すことが多いと言われています。また、心房細動は脈が早くなることが多く、動悸や息切れを感じることがあり、時に心臓のポンプ機能を低下させ心不全を起こすこともあります。そのため、心房細動の治療には、薬物治療(脈を遅くする薬、脈の乱れを整える薬、血液を固まりにくくする薬)を行うのが一般的です。薬物治療以外に、カテーテルアブレーションで治療する方法もあります。


2. カテーテルアブレーションとは

カテーテルアブレーション(経皮的心筋焼灼術)とは、体にメスを入れずに、血管に3mm程度の管(シース)を通してカテーテル(図2)を入れることで心臓に到達させ、心臓の中で、不整脈の原因となっている異常な電気回路を焼灼し、断ち切る治療法のことです。カテーテルで行う以前は、心臓外科で胸を開けて、外科的に心臓を焼灼することが多かったのですが、現在では循環器内科でカテーテルを用いて行なうことがほとんどです。当院では、カテーテルアブレーションが日本に導入された初期の頃から治療を始めており、すでに2000人以上の患者さんがこの治療を受けられています。

3. 心房細動の治療法

心房細動は主に肺静脈という、肺と心臓を繋いでいる血管から、異常な電気信号が発火して起きることが知られています(図3)。以前は、心房細動は薬で治療するしかありませんでしたが、最近では、アブレーションによる治療が一般的になってきています。カテーテルで肺静脈の周囲を焼灼し、心筋の一部を絶縁体にして電気を通さなくすることで、異常な電気信号を閉じ込める治療法です(図4)。


(事前に造影CTを撮影し、そのデータを3D画像に変換し、アブレーションカテーテルとの位置関係を確認しながら、迅速かつ確実な治療が可能となりました)

 特に当科ではこの、心房細動に対するカテーテルアブレーションを積極的に行なっています。発作性心房細動だけではなく、いわゆる「慢性心房細動」と呼ばれていた持続性心房細動や、心不全を合併した場合、また、過去に心房細動が原因で脳梗塞になった既往がある場合(後遺症が少ない場合)も、可能な限りカテーテルアブレーションを行なっています。もちろん、冷凍バルーンを用いた特殊治療も可能です。
 当院には多くの強みがあります。脳血管神経内科・脳血管内治療科・脳神経外科から構成される、全国屈指の脳卒中センターが当院にはありますので、心房細動によって脳梗塞を発症した患者さんが数多くおられ、お互いに連携を取りながら心房細動の総合診療をしています。また、心臓外科と二人三脚で、より重症な心臓病に合併する不整脈に対する治療や、心臓術後の複雑な不整脈に対するカテーテルアブレーションなど、難しい症例に対しても、診療科の垣根を超えた医療を提供できます。これからも、不整脈、心血管疾患に悩む患者さんのために、すべての診療科が手をとって総合的な診療ができるよう、日々心がけています。

文責:矢加部 大輔