肝臓・胆道・膵臓外科

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▼ 胆道がん


1 胆道がんとは
胆道とは、肝臓でつくられる胆汁が十二指腸に流出するまでの通り道のことをいいます。その管は肝臓の中で合流しながら徐々に太くなり(肝内胆管)、左右の胆管(左右肝管)となります。そして、1本の胆管(肝外胆管)となり十二指腸乳頭部と呼ばれる部位で十二指腸とつながっています。肝外胆管の途中にある胆汁の一部をためて濃縮する袋を胆のう(たんのう)といいます。
胆道がんは、これらの胆道に発生するがんであり、胆管がん(肝内胆管がん、肝外胆管がん)、胆のうがん乳頭部がんに分けられます。一般に「胆管がん」は、主に肝外胆管に発生したがん(肝外胆管がん)を指します。肝内胆管がんは肝臓にできたがんとして、肝臓の中にできたがん(原発性肝がん)のひとつとして扱うことになっています。肝外胆管は肝臓の入り口を肝門部、肝門部から胆のうまでを上部、胆のうから膵臓までを中部、膵臓から十二指腸乳頭部までを下部に分け、そこに発生するがんをそれぞれ肝門部胆管がん、上部胆管がん、中部胆管がん、下部胆管がんと呼んでいましたが、2013年11月に改訂された規約では肝臓に近い部位を「肝門部領域胆管がん」、十二指腸に近い部位を「遠位胆管がん」と呼ぶように改訂されました。
日本では、胆道がんが出来る人が1年間に約2万人(年間罹患者数)、胆道がんで亡くなる人が1年間に約1.8万人(年間死亡者数)であり、日本人がん死亡数の第6位となっており、年々増加傾向にあります。日本は世界的にみて胆道がんの頻度が高く、特に胆管がんは男性に多く、胆のうがんは女性に多いことが分かっています。胆石症・胆のう炎・胆管炎・膵胆管合流異常症などの胆道系の病気は、胆道がんのリスクになるといわれています。


2 症状
・黄疸(閉塞性黄疸)
発生部位により若干の違いはありますが、初期の段階では症状はありません。がんが進行して胆汁の通り道である胆道が塞がれると胆汁が流れにくくなり、閉塞部位より上流の胆管が拡張し、行き場のなくなった胆汁は胆管から血管に逆流します。すると胆汁中の成分の一つであるビリルビンが血液中に増加し、皮膚や目の白い部分などが黄色みを帯びてきます。これを黄疸(閉塞性黄疸)といいます。
・褐色尿
血液中のビリルビンが上昇すると尿から排泄されるようになり、尿の色が紅茶のように濃くなったり、茶色になったりします。
・白色便
胆道が閉塞して胆汁が十二指腸へ流れなくなると、便の中のビリルビンが減り、便が白くなります。
・かゆみ(掻痒感)
黄疸が高度になると、皮膚がかゆくなる症状(掻痒感)が出現します。
・発熱
うっ滞した胆汁に腸内細菌などの細菌が感染すると胆管炎を生じ、発熱や寒気(悪寒)などを認めることがあります。
・食欲低下、倦怠感
黄疸が高度になってきた場合はからだがだるくなり、食欲が低下してくることがあります。また、一般にがんの進行に伴っても全身の倦怠感や食欲低下が出現します


3 診断
胆道がんが疑われたときに行う主な検査は、血液検査と画像検査です。血液検査では黄疸の程度(ビリルビン値)や肝障害の程度(AST, ALT, ALP, γ-GTPなど)、腫瘍マーカー(CEA, CA19-9, DUPAN-2, SPAN-1など)をみます。画像診断では腹部超音波検査、CT検査、MRI検査などを行い、がんの部位や周囲への広がりの程度を診断し、がんの進行程度を判断します(病期診断)。また、内視鏡を用いて胆管を直接造影するERCP検査(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)を行い、胆汁を採取し胆汁中のがん細胞の有無を調べることもあります。また、ERCP検査の際には胆管内へ細いチューブを挿入し、うっ滞した胆汁を十二指腸内に排出させ黄疸を軽減させる処置を行う場合もあります。


4 病期診断
胆道がん取り扱い規約により胆管がん、胆のうがん、乳頭部がんともI~IV期に病期分類されています。おおまかに、腫瘍が胆管壁内や胆のう壁内にとどまるものをII期またはII期、それらをこえて周囲の臓器やリンパ節へ広がっている場合をIII期、それよりさらに広がっている場合や他の臓器への転移を伴う場合はIV期とします。


5 治療法
胆道がんの根治的治療は手術しか方法がありません。手術で病巣をすべて取り除くことが、胆道がんに対する唯一の根治的治療法です。よって、遠隔転移(肝転移、肺転移など)がなく、手術により根治が可能と判断される場合は、外科手術を強くおすすめします。手術の方法は、がんの部位と進行具合に応じた手術方法が選択されますが、胆管や胆のうの壁は薄くがんは容易に周囲へ浸潤しやすいために、多くの場合は進行した状態で発見されます。進行例では周囲の臓器も含めた広範囲な切除やリンパ節郭清が必要となり難易度の高い手術となります。たとえば、肝門部領域胆管がんや進行した胆のうがんは肝臓へ浸潤することが多く、胆管、胆のう、肝臓の一部を切除する肝外胆管切除と肝切除が必要となります。遠位胆管がんや乳頭部がんは膵臓や十二指腸に浸潤することがあり、胆管、胆のう、膵頭部、十二指腸を切除する膵頭十二指腸切除が適応となります。さらに胆管周囲の血管(肝動脈や門脈)にがんが及んでいる場合にはこれらの血管も切除し再建することもあります。
胆道がんはたとえ根治切除が可能であった場合でも早期に再発してくることが多く、補助化学療法(手術後に再発を予防するための抗がん剤治療)の追加が望ましい場合が多く見られます。補助化学療法として確立された方法はまだありませんが、胆道がん再発や切除できなかった胆道がんに対して有用性が期待されている薬剤として、ジェムザール(注射薬)やTS-1(内服薬)があり、手術後の病理組織診断で再発リスクが高いと考えられた場合はこれらの薬剤を用いた補助化学療法を行っています。
病期診断で手術できないと判断された場合は、抗がん剤による全身化学療法を行います。使用する抗がん剤はジェムザール、TS-1、シスプラチン(注射薬)などがあります。
また閉塞性黄疸がある場合は、手術や全身化学療法前に黄疸を下げる処置を行います。一般的には内視鏡を用いて十二指腸乳頭部からがんによる狭窄を越えた場所までチューブを挿入し胆汁の流れを確保します。全身化学療法を行う場合は、より長期間留置できるように、形状記憶合金でできた金属製のステントを胆管内に留置する場合があります。


6 治療成績
当肝胆膵外科では肝臓だけでなく、胆道や膵臓のがんに対しても専門的な手術を行っております。当院設立1994年以来2015年末までの約20年間で、胆道がん219例(胆管がん92例、胆のうがん90例、乳頭部がん37例)に対して根治手術を行いました。胆道がんは早期発見が難しく、多くの場合は進行した状態で発見されます。精密検査を行った段階で残念ながら手術できないと判断される患者さんも多く、当院での胆道がんの根治手術件数は年間約10から20例です。2010年から2015年までの直近6年間に当院で行った胆道がん切除手術件数を示します。