脳血管・神経内科

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九州医療センターから脳神経血管内治療学会専門医への道


現在、脳血管神経内科と併任で脳血管内治療科の若手スタッフとして活躍している三本木良紀先生を紹介します。2013年2月、脳神経血管内治療専門医試験に九州医療センターから初めてで、しかも一発で合格しました。彼のその喜びの声を、これからの脳卒中急性期医療への高い志とともに紹介したいと思います。

経歴紹介

H18年 九州大学医学部卒業
H18年 九州中央病院で初期研修開始。脳血管内科で研修した際に指導医の能力の高さと人柄の良い先輩らに感銘を受け、脳血管内科へ進むことを決める。
H20年 聖マリア病院脳血管内科。外傷を含め、脳卒中以外の多彩な救急疾患を経験。なんでも受ける度胸が身に付く。
H21年 九州医療センター脳血管内科レジデント。岡田・矢坂部長の厳しい指導の下、同世代のレジデントらと切磋琢磨しながら超音波診断や臨床研究について楽しく学ぶ。
H22年 福岡赤十字病院脳血管内科。約2日に1日のオンコールで体力を養う。日本内科学会認定内科医取得。
H23年 小倉記念病院脳神経外科。ここから血管内治療への道を志す。外科としてくも膜下出血例などの主治医も経験し、1年間研鑽を積むことで血管内治療だけでなく開頭手術に関しても知識を深める。日本脳神経超音波検査士取得。
H24年 九州医療センター脳血管神経内科・脳血管内治療科併任スタッフとして赴任。同年1月より開設されていた脳血管内治療科で津本智幸科長(脳神経血管内指導医)の指導の下、同科の発展に寄与。年間約200例の診断撮影、約80例の手術症例を経験し、内科・外科・血管内治療の毎朝の合同ミーティング、診療チームワークや情報発信、医療連携の基礎づくりを経験するとともに、H25年2月に行われた脳神経血管内治療学会専門医試験に合格。

現在は脳神経血管内治療学会指導医である科長の津本智幸先生と、頸動脈ステント留置術や超急性期脳梗塞に対する血行再建、動脈瘤に対するコイル塞栓術や硬膜動静脈瘻に対する塞栓術など、血管病に対して幅広く検査・治療を行っているところです。また内科医の視点をもって血管内治療の新たな臨床研究も展開しようと日夜勉強を続けています。

脳神経血管内治療学会専門医への道 Q & A

Q:なぜ脳血管内治療を志したのですか?


A:まず、近年の脳卒中診療の変化として、2010年に血行再建デバイスであるMERCIが認可され、日本でも使用可能となったことで脳卒中診療が大きく変化したことが挙げられます。我々は内科医として脳卒中を診療しており、特に虚血性脳卒中を診ることが多いですが、その最重症型である内頸動脈閉塞症に対してはt-PA投与の効果があまり期待できないことが分かっていますので、専門科として更にその先の治療まで行うことの必要性を強く感じたことが最も大きな動機です。

Q:脳血管内治療とはどんな治療ですか?


A:動脈にカテーテルという筒状の道具を進めていき、血管の病気に対して様々な道具を使って血管を広げたり、血管を詰めたりする治療です。血管が狭くなっている部位に対しては風船やステントという金網の筒を使って広げたり、また動脈瘤という血管のこぶに対しては、プラチナでできたコイルと呼ばれる詰め物を内部に詰めることで、破裂してクモ膜下出血がおこることを予防します。その他にも、血栓という血の塊を取り除いて血流を再開させたり、動脈と静脈がつながってしまう病気であれば液体の接着剤のような物質を使って血管を詰めたりすることもあります。

Q:専門医を受験するにはどのような条件を満たせば良いのですか?


A:まずは血管内治療を多く経験する必要があり、具体的には100例の治療を術者・第一助手・第二助手のいずれかで経験しなければなりません。その内訳も、最低20例は術者を含むことや動脈瘤20例を含むこと、血行再建15例を含むことなど細かい規定があります。

Q:九州医療センターでの研修で資格の取得は可能ですか?


A:少なくとも治療症例は現在のところ年間80例程度ですので、動脈瘤や硬膜動静脈瘻などの疾患の必要症例数を満たすことができるかはわかりませんが、うまくいけば2年間程度の研修で受験資格を得ることができます。また、学会認定の研修施設(2013年4月から)ですので、当院で1年以上診療にあたれば試験に受かった後に必要な実地監査が免除となります。

Q:専門医の取得は難しかったですか?


A:非常に試験は難関で、最近は約5-6割しか合格率はありませんが、しっかりと担当症例について勉強すれば合格できると思います。当院では指導医の津本先生の指導が非常にしっかりしていますし、最新のデバイスも使える環境にあります。また最新の治療にも触れることができますので専門医試験に直結する最新の知識も得ることができます。

Q:今後の目標は?


A:より多くの患者、特に重篤な後遺症が残ることが多い内頸動脈閉塞などの主幹動脈急性閉塞の患者を一人でも多く救えるように血管内治療を広めていこうと思います。また個別の経験に留まらず、しっかりした臨床研究を行い、日本発の血管内治療のエビデンスを創り、これからの血管内治療をリードできるよう精進していきたいと思っています。