整形外科

治療成績

1)脊椎・脊髄疾患

脊椎・脊髄疾患の手術症例数は、最近5、6年は350件前後と一定の手術件数を保っています。2017年は348件の手術が行われました(図2)。
 


脊椎外科の手術対象は腰椎疾患が全体の約7割を占めています。その中で腰部脊柱管狭窄症が最多の221件を占めており、次いで頚椎症性脊髄症に対する手術が41件行われました。(表4)。脊椎外科手術術式と症例数を表5に示します。椎弓切除術は主に腰部脊柱管狭窄症に対して行われています。頚椎症性脊髄症に対しては椎弓形成術が多く行われました。インストゥルメンテーション併用の除圧固定術は114件行われました。インストゥルメンテーション併用手術は、早期離床、変形の矯正維持、外固定の簡素化、骨癒合率の向上など利点が多く、在院日数を短縮させるためにも、適応となる症例がますます増加しつつあります。特に後方侵入椎体間固定術(PLIF)や経椎間孔的腰椎椎体間固定(TLIF)は椎体ケージとペディクルスクリューシステムの進歩とともに今後も増加するものと考えられます。脊椎外科における近年のトピックは、成人の高度側弯・後弯症を脊柱と骨盤の関係を加味しつつ矯正固定しようとする固定術の増加であります。胸椎下部から骨盤までを多椎間の椎間固定や椎体骨切りによって矯正し、広範囲に固定するという大きな手術です。骨盤を固定する方法として、仙腸関節を貫通させるS2 alar iliac screwは腰仙部の固定性を飛躍的に向上させました。当科でも、腰曲がりに悩む患者さんのこころをひとつにして果敢に挑戦しています。脊椎外科の最近の進歩はめざましく、今後とも最新手技・材料を駆使してさらに良好な術後成績を得るよう努めたいです。
表4.脊椎手術疾患別分類(2017) 表5.脊椎手術術式別分類(2017)
頚椎 頚椎症性脊髄症 41 椎弓切除術 132
OPLL 7 経椎間孔的腰椎椎体間固定(TLIF) 98
頚椎椎間板ヘルニア 5 椎弓形成術(Laminoplasty) 49
環軸椎亜脱臼 6 脊椎後方除圧固定術 17
リウマチ性頚髄症・環軸椎亜脱臼 6 椎間板ヘルニア切除術 17
胸椎 胸椎黄色靭帯骨化症 12 黄色靱帯骨化症手術 9
胸髄症 2 後方進入腰椎椎体間固定(PLIF) 2
腰椎 腰部脊柱管狭窄症 221 脊椎制動術 2
腰椎椎間板ヘルニア 19 前方除圧固定 6
腰椎変性・分離すべり症、変性側彎 6 椎体形成術+脊椎後方除圧固定術 1
脊椎圧迫骨折・破裂骨折 9 脊椎・脊髄腫瘍摘出術 6
脊椎・脊髄腫瘍 6 後頭頸椎固定術(O-C) 3
脊椎感染症 2 環軸椎固定 (M & B法) 1
その他 6 その他 3
348

2)関節リウマチ(RA)

(RA薬物療法)
リウマチ科の項参照

(RA手術療法)
RA患者さんに対しましては、薬物療法と並行して、人工関節置換術、関節形成術、関節固定術などの機能再建手術も積極的に行っています。手術件数は1年間に165件ありました。手術の内訳を表6に示します。
人工関節置換術は70件であり、人工股関節置換術(THA) 27件、人工膝関節置換術(TKA) 27件、人工肩関節置換術(TSA) 2件、人工肘関節置換術(TEA) 3件、人工指関節置換術11件でありました。生物学的製剤をはじめとする薬物療法によってRAのtight controlが図られることもあって近年RAのTHA、TKAは減少傾向でありますが、手足の手術の増加に伴って、手指インプラントを用いた関節形成術が増加しており、2017年度は光安先生を術者として11指に対して手術が行われました。
 人工関節以外では、主に関節形成術、関節固定術が行われています。関節形成術は前足部変形に対する関節温存手術を中心に22件行われました。脊椎外科では、基盤に高度骨脆弱性を有し手術困難なRA患者さんに対しまして、実に43件の手術が行われました。
表.関節リウマチに対する手術(2017)
人工関節 70
 THA 23
 THA再置換 4
 TKA 24
 TKA再置換 3
 TSA 2
 TEA 3
 手指インプラント 11
関節形成 22
関節固定 8
滑膜切除 2
伸筋腱・屈筋腱再建 3
脊椎 43
感染 4
骨折 9
その他 4

3)変形性関節症等RA以外の関節症

 変形性関節症(OA)に対する手術は171件行われました(表7)。OAに対する手術は近年増加傾向にあり、長期成績が良好であります。術後早期離床・社会復帰が可能な人工関節置換術が大多数を占めました。変形性股関節症、変形性膝関節症等に対して、それぞれ83件ならびに86件行われました。
表. 変形性関節症に対する手術内訳(2017)
変形性股関節症 83
THA 74
THA再置換 5
人工骨頭(ION) 2
その他 2
変形性膝関節症 86
TKA 80
TKA再置換 3
HTO 1
その他 2
変形性足関節症 1
LTO 1
変形性手関節症 1
関節固定 1

4)人工関節置換術

2017年に行われた人工関節置換術は233件でした。週に2日だけ手術を行っている施設としては異例ともいえる人工関節手術例数の多さを誇っています。対象は変形性関節症(OA)等が162件、関節リウマチ(RA)が70件です。部位別の内訳は人工膝関節(TKA) 110件、人工股関節(THA) 106件、人工肩関節(TSA) 3件、人工肘関節(TEA) 3件、人工指関節11件でした(表8)。
表.人工関節置換術(2017)
OA RA その他
THA 106 Primary THA 74 23 0 97
THA再置換 5 4 0 9
TKA 110 Primary TKA 80 24 0 104
TKA再置換 3 3 0 6
TSA 0 2 1 3
TEA 0 3 0 3
MTPJ implant 0 11 0 11
162 70 1 233

THAは後方アプローチでありますが、大径骨頭使用、ハイオフセット、後方筋群温存、カップ設置角の精緻化など最新の材料・手技を用いて、インプラントの初期固定性を高め、術後1~2日目から全体重をかけて歩くことを許可しています。臥床期間がほとんどなく、すぐ歩行でき、平均術後3週で退院できることから患者さんサイドでも好評を博しています。
TKAでは軟部組織のバランシング、下肢のアラインメント、コンポーネントの回旋位がTKAの長期成績向上のために必須であるため、内反・外反・屈曲拘縮変形に対する矯正手技を正しく行うよう努めています。また、骨欠損、不安定性、骨脆弱性の強いリウマチ膝や再置換例ではaugmentation metalやstem extensionの使用,constrained condylar knee systemの併用、反張膝や不安定性が極端な症例にはrotating hinge typeで対処しています。これらの手術手技・材料の進歩により、変形高度な膝でも術後早期に荷重と早期自宅退院が可能となっています。

5)関節鏡視下手術

2017年の関節鏡視下手術は9件であり、全例膝関節疾患に対して行われました。膝半月板損傷に対する鏡視下半月板切除術がほとんどを占めていました。鏡視下半月板切除術や滑膜切除術は整形外科専門医として必要な手術手技であり、教育的見地からも重要であることから、今後とも継続していきたいです。

6)骨折・脱臼

2017年は骨折・脱臼に対する観血的手術を172件行いました(表9)。救急部所属整形外科医とローテートの若手医師により、外傷患者さんの受け入れ・管理・手術がスムーズに行われています。大腿骨近位部骨折は85件でした。当センターの大腿骨近位部骨折手術症例の特徴は、超高齢者が多いこと、悪性腫瘍、循環器疾患、脳血管障害、認知症、精神障害など重症の合併症を有する比率が高いことです。術後早期に家庭復帰が困難な症例が多いため、地域連携室の早期介入により、病診・病病連携の強化とスムーズな転院に努めています。2017年も宮崎医長を中心に地域連携クリティカルパスに基づいた地域での円滑な診療連携の推進を行ってきました。その他の骨折も早期離床・転院や自宅復帰可能な最新手技・手術材料で対処するよう努めています。

表.骨折に対する観血的手術(2017)
大腿骨近位部骨折 85
大腿骨骨幹部骨折 10
大腿骨遠位部骨折 3
膝蓋骨骨折 6
脛骨近位部骨折 3
脛骨骨幹部骨折 5
脛骨遠位部骨折 2
足関節脱臼骨折 7
踵骨骨折 2
鎖骨骨折 11
肩関節脱臼骨折 1
上腕骨骨折
近位部骨折 5
骨幹部骨折 2
遠位部骨折 3
肘頭骨折 10
橈骨遠位端骨折 13
手指骨折 4