小児外科

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急性虫垂炎


急性虫垂炎は、幼児から成人まで幅広くみられる疾患です。小児の腹痛は鑑別が難しく、急性虫垂炎は診断が困難で、進行が早いため穿孔しやすく、周囲の臓器が未発達なため、炎症が局所に止まらず腹膜炎や腹腔内膿瘍を伴うことが多いのが特徴です。当科では手術は従来の右下腹部横切開による開腹術と、腹腔鏡手術のどちらかで行っています。腹腔鏡手術は、腹腔鏡による操作スペースの確保の面から体重20Kg 以上の患者さんを対象としています(図7, 8)。腹腔鏡下虫垂切除術の手術創は小さく目立ちません(図9)。
発症から時間があまりたっていない場合は、炎症も軽く手術が第一選択ですが、発症から時間が経って、すでに腹膜炎や腹腔内膿瘍を伴っている症例の場合は、まず抗生物質で炎症を抑えて、落ち着いてから手術を行う待機的虫垂切除術(interval appendectomy)を行うことがあります。待機的手術を支えているのは超音波検査、CT等による的確な画像診断で、診断および治療効果の判定に大きく貢献しています。穿孔性虫垂炎により腹腔内膿瘍を形成した場合でも、2剤あるいは3剤併用の抗生剤治療で炎症をおさえ、3か月以降に虫垂切除術を行えば、虫垂周囲の癒着も軽減しているため、手術創を小さくし、術後の創感染などの合併症も少なくなるという利点があります。また、最近では腹腔鏡手術を行うことで、より小さな手術創で虫垂切除を行うことができます。



▲図8.急性虫垂炎の腹腔鏡所見
a.軽度の虫垂炎。虫垂の腫大、発赤、大網癒着が見られる b.中等度に進行した虫垂炎。虫垂の腫大、発赤、膿苔付着が見られる c.さらに進行した虫垂炎。高度の虫垂腫大、発赤、膿苔付着を認める。d.高度に進行した虫垂炎。虫垂の腫大、発赤、血管拡張、虫垂壁の脆弱化を認める。

▲図9.術後6日目の手術創。