急性期急性心不全に対しては集中治療室において速やかに利尿剤、血管拡張剤、強心剤等の投与を開始し、うっ血の改善・血行動態の維持を図ります。難治性重症心不全に対しては人工呼吸器、大動脈内バルーンポンピングや経皮的心肺補助装置、血液透析を積極的に導入し救命に努めます。同時に基礎疾患診断、重症度判定、治療方針決定のため一般検査に加えて心エコー、心臓カテーテル検査、CT、MR、核医学検査等を駆使して検査を進めます。急性心筋梗塞による心不全であればカテーテル治療により速やかに血行再建を図ります。重症冠動脈病変や感染性心内膜炎による心不全と判明すれば緊急手術が必要な場合もありますので、入院当初より心臓外科スタッフと連携し手術のタイミングを逃さないような体制を取っています。
亜急性期〜慢性期うっ血がとれて全身状態が改善したら一般病棟に移っていただき、食事療法・薬物療法・心臓リハビリテーションを開始します。薬物療法は自覚症状改善・心不全再発予防を目的とし、抗血小板薬、β遮断薬やレニンーアンギオテンシン系抑制薬等のEvidence-based Medicineを実践しています。薬物療法でも改善が見られない方に対しては近年効果的とされる心臓再同期療法の適応を不整脈・ペースメーカーグループと共同で検討します。弁形成術/弁置換術や冠動脈バイパス術の適応となりそうな方は週一回行っている循環器科・心臓外科の合同カンファレンスで治療方針を検討します。心臓リハビリテーションはリハビリ部の協力の下、専門の理学療法士が医師のリハビリ指示書に従って心肺機能の改善・筋力回復を図っています。退院間近になると、栄養管理室による食事指導(塩分、脂肪制限の重要性)、薬剤師による服薬指導を行い、心不全再発に努めます。 退院後は紹介医へ戻る、あるいは地元のかかりつけ医を作っていただき、そこで慢性期の診療をお願いする病診連携を実践しています。 |