脳血管センター

手術2(血管内手術)

手術2(血管内手術)

対象となる病気と治療方法は、
1.「脳動脈瘤」に対して、頭を切らずに「動脈瘤コイル塞栓術」を行います。
2.「頸部・頭蓋内血管狭窄症」に対して、「血管拡張術、ステント留置術」を行います。
3.「脳梗塞(脳塞栓症)」に対して、「脳血栓回収療法」を行います。

近年の脳血管内治療の進歩で、昔は開頭手術を行っていた症例でも今では頭を切らずに治すことができるようになりました。また、今までは治らなかった脳梗塞も治る可能性が出てきました。

未破裂脳動脈瘤

脳ドックなどで破れる前に見つかった動脈瘤を「未破裂脳動脈瘤」と呼びます。「動脈瘤コイル塞栓術」では、動脈瘤内にカテーテルを挿入し、そこからプラチナでできた柔らかいコイルを挿入していき、動脈瘤の中を詰めて破れないようにします。
 血管内治療のメリットは、頭部を切開する必要がないため、回復が早く、開頭手術よりも早く社会復帰ができます。一方、デメリットとしては、塞栓術後に5-10%程度の症例に再治療を要する動脈瘤の再発を認めますが、最近のデバイスの進歩(バルーン、ステントなど)により、減少傾向であります。
 未破裂脳動脈瘤と診断された場合、「開頭手術」「コイル塞栓術」いずれにも精通した医師に相談するのが良いでしょう。現在では、「脳神経外科専門医」「脳血管内治療専門医」の両資格を有している医師に相談しましょう。
 また動脈瘤コイル塞栓術においては、脳の大切な部分を養っている細い血管(穿通枝)を温存することや、ステント留置した場合にはステントが血管にしっかりフィットしているかどうかを確かめることが重要となっています。当科では2014年から、最新の脳血管撮影装置(Allura Clarity FD 20/20; フィリップス社)を導入し、cone-beam CT, 3DDSAを用いてこれらを確認し、穿通枝梗塞などの合併症を防いでいます。



内頚動脈狭窄症

 内頚動脈狭窄症は、脳に血液を送る通り道である内頚動脈という動脈が、動脈硬化などの原因で狭くなる病気です。狭窄の程度が進むと脳に行く血液が不足して脳梗塞を起こしてしまうため、外科治療が必要となってきます。外科治療としては、頚動脈内膜剥離術(CEA)が従来行われていた治療方法ですが、近年、血管内治療(経皮的頚動脈ステント留置術;CAS)でも同等の成績であることから適応が広がってきており、当科でもCASを行っております。外科治療が必要な患者さんの状態に応じて、脳血管内科・脳神経外科と相談し、CEAかCASいずれかの治療方法を決めています。
2012年の当科開設からは100例以上の治療を行っております。最近は脳梗塞を起こす前に頸動脈狭窄症が見つかることも多く、これを無症候性狭窄と呼びます。当院での連続52例の検討では、CAS34例、CEA18例とほぼ2:1の割合でCASが選択されており、30日時点での合併症、再治療率は両治療とも有意差はなく、良好な結果でした。


また、当科では2014年から、最新の脳血管撮影装置(Allura Clarity FD 20/20; フィリップス社)を導入し、頸動脈ステント留置術中に脳血流の評価(2D perfusion image)を行うことができるようになりました。これにより、CASでの合併症の1つである過灌流症候群をいち早く検出できるようになりました。



急性期脳梗塞(tPA静注療法、緊急血行再建術)

脳梗塞は、一度起こってしまうと改善が難しい病気ですが、現在、発症4.5時間以内の脳梗塞患者に対してtPA(アルテプラーゼ)静注療法が認可されております。当院でも、これら早期の脳梗塞患者にtPA静注療法を積極的に行なっており、これまで200例以上の治療経験を有しております。
 ただし、このtPA療法ですが、すべての症例に奏効するわけではありません。そこで当院では、tPA静注療法が効かなかった患者、tPA静注療法の適応が無かった患者のなかで症例を選択し、血管内治療(緊急血行再建術)を行なっております。
現在ではステント型血栓回収器具をはじめとして最新の治療デバイスが本邦においても使用可能となっており、急性期脳梗塞の治療は目覚しい進歩を遂げつつあります。当科においては、2014年7月に薬事承認されたステント型血栓回収器具を用いた緊急血行再建術を多数経験しており、これを使用することにより治療時間が以前に比較して大幅に短縮しました。また、時間の短縮は予後にも関係し、これらの治療を受けた患者の約40%は脳梗塞発症90日後には自立可能となっており、高い治療効果が得られております。


また、最新の研究において急性期脳梗塞に対する血管内治療の有効性が証明されました。(MR CLEAN, N Engl J Med 2014.)これまで以上にこの治療に対する期待が世界中で高まっているのが現状です。