リウマチ・膠原病センター

ご案内

スタッフの構成と医療態勢

当センターはリウマチ科(整形外科)と膠原病内科から構成され、関節リウマチや膠原病等のリウマチ性疾患に対するチーム医療を共通の基準で積極的に推進しています。リウマチ科(整形外科)は関節リウマチおよび変形性関節症を中心に手術療法・薬物療法をおこない、特に関節病変の評価と手術適応の決定、リウマチ外科専門手術をおこなっています。膠原病内科はリウマチ薬物療法、重症関節外病変や合併症の治療、各種膠原病の診断・治療をおこなっています。当センターでは、これらの総合的医療を推進するために、整形外科医、内科医、看護師、理学療法士、薬剤師、栄養士のスタッフの協力体制に基づくチーム医療を実践しています。

リウマチ科(整形外科)

【RA薬物療法】
 リウマチ科では最新の薬物療法を積極的に推進しており、RAの早期診断と早期からの抗リウマチ薬の投与開始、特にanchor drugであるメソトレキセート(MTX)の積極的使用と昨年から認められた16mg/wkまでの増量に努め、RAのtight controlを図っている。MTX無効例に対しては、生物学的製剤の導入も積極的におこなっている。現在、保険適応のある生物学的製剤として、TNF阻害剤:レミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、IL-6阻害剤:アクテムラ、T細胞共刺激調節剤:オレンシアの6剤がある。レミケードの点滴投与はクリティカルパスに基づいた2泊3日短期入院治療をおこなっており、特に投与時反応がおこりやすい投与開始5回目以内は入院治療としている。外来投与も可能である。2011年後半には外来投与9例、入院投与10例であった。エンブレル、ヒュミラ、シンポニーは皮下注射であり、採血センターでの投与か、自己注射をおこなっている。アクテムラ、オレンシアは点滴注射であり、外来治療センターでの投与となる。生物学的製剤はいずれも年間薬剤費が約150万円と高額であるが、関節破壊抑制、費用対効果、寛解導入の可能性を考えると、MTXの効果不十分例や予後不良因子を有する例には是非導入したい治療である。エンブレルの外来投与は自己注射も含めて35例あった。完全ヒト型抗TNF-α抗体:ヒュミラ:22例、抗IL-6受容体抗体:アクテムラ:13例に投与がおこなわれた。T細胞の調節因子に作用するオレンシアも5例に投与されている。一番新しい抗TNF阻害薬であるシンポニーは月1回の皮下注射でよく、高い利便性が得られ、3例に投与が開始された。生物学的製剤は優れた臨床症状改善のみならず関節破壊の抑制も可能であり,医療者・患者ともに大きな期待を抱いている先端治療である。多くの患者で劇的な症状改善を得ているが、感染症をはじめとする副作用にも注意が必要であり、生物学的製剤使用ガイドラインの遵守と合併症の早期発見治療に努めている。合併症については、リウマチ膠原病センター内で膠原病内科にコンサルトする以外に、呼吸器科をはじめ関連他科にも診療を仰いでいる。さらに新たな生物学的製剤や低分子化合物の治験も多数実施中であり、RAの寛解まで視野に入れた最新薬物療法が展開されつつある。

【RA手術療法】
RA患者に対しては、薬物療法と並行して、人工関節置換術、滑膜切除術、関節形成術、関節固定術などの機能再建手術も積極的におこなっている。RA患者に対する手術は1年間に183例あった。
人工関節置換術は67例であり、人工股関節置換術(THA) 16例、人工膝関節置換術(TKA) 44例、人工肩関節置換術(TSA) 2例、人工肘関節置換術(TEA)4例、人工足関節置換術(TEA)1例であった。変形性関節症のTHA、TKAは増加しているが、生物学的製剤をはじめとする薬物療法によってRAのtight controlが図られることもあってRAのTHA、TKAは減少してきている。RAでは代わりにこれまで放置されていた肩、肘、足などの人工関節が増えつつある。
 人工関節以外では、主に関節形成術、関節固定術がおこなわれた。RA滑膜切除術は薬物療法の進歩で減少し、感染滑膜切除が主であった。2011年は関節形成術を24例におこなった。リウマチ前足部変形に対しては切除関節形成術を16例におこなった。関節固定術8例中、足関節固定3例にはフィン付き髄内釘が用いられ、早期の荷重歩行、退院が可能であった。伸筋腱再建は8例あったが、今後はリウマチ手の外科症例も増加すると考えられる。脊椎外科では、骨脆弱性高度のため難易度の高いリウマチ脊椎手術20例がおこなわれた。他に膠原病内科から診断目的の局麻下神経・筋生検依頼を随時引き受けている。

膠原病内科

2012年(1〜12月)の膠原病内科診療患者数は,入院568名(入院患者実数331名),外来(再来)1277名,年間死亡者数は13名(剖検2名),新規特定疾患申請数69名,継続数454名でした。治療に関してはステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg/日以上)施行24名(25回),血漿交換療法2名(8回),LCAP療法7名(33回)でした。
関節リウマチの治療に関して,生物学的製剤の最近の進歩は目覚しいものがあります。現在,TNFαをブロックするインフリキシマブ(レミケード),エタネルセプト(エンブレル),およびアダリムマブ(ヒュミラ)と,IL6をブロックするトシリズマブ(アクテムラ),T細胞選択的共刺激調節剤アバタセプト(オレンシア)が臨床で用いられています。2012年の膠原病内科における生物学的製剤使用患者数はインフリキシマブ30名,エタネルセプト40名,アダリムマブ27名と,ゴリムマブ6名,トシリズマブ37名,アバタセプト6名でした。また2012年までの累積使用者数はインフリキシマブ73名,エタネルセプト70名,アダリムマブ50名,ゴリムマブ9名,トシリズマブ43名,アバタセプト13名に上ります。関節リウマチの治療目標に関しては,早期からの積極的治療によって,できるだけ早く寛解を目指すという概念(Treat to Target)が提唱されています。すなわち炎症をできるだけ抑えて寛解を達成し,身体機能の低下を防ぐことを目指しますが,現実的にすべての患者が寛解に至ることは不可能ですので,関節破壊が進行しない程度の低疾患活動性の達成も,現実的な目標とされています。具体的には関節リウマチと診断されたらすぐに抗リウマチ薬(DMARDs)を開始し,活動性の関節リウマチに対しては,最初からメトトレキサートを用いることが勧められています。ステロイド剤はDMARDsと併用で,初期に短期療法で有効と考えられています。
2012年膠原病内科からリウマチ科・整形外科に依頼した手術症例は、ステロイド性大腿骨頭壊死症に対する股関節人工骨頭置換術2名2件、関節リウマチに対する手関節形成・伸筋腱再建1名1件、足趾形成1名1件、大腿骨骨幹部骨折骨接合1名2件、人工股関節置換術3名4件、人工膝関節置換術2名2件、膝蓋骨骨接合術1名1件、足趾掻把洗浄術1名4件、足底部腫瘤切除術1名1件、混合性結合組織病に対する足関節固定1名1件などでした。また、多発性筋炎・皮膚筋炎における診断確定のための筋生検、血管炎症候群における腓腹神経生検等適宜依頼しました。一方、リウマチ科から膠原病内科への依頼は感染症・膠原病性疾患の治療などが主体でした。

リウマチ・膠原病教室

リウマチ教室では、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士を講師として、リウマチの基礎知識、薬物療法、手術療法、リハビリ、ケアについての講座を隔週開催しています。また膠原病教室もリウマチ教室の一環をして隔週に開催しています。膠原病に対する理解を深め、無用の不安を除くと共に、食事や日常生活上の注意点を説明し、膠原病と長く上手につき合うことができることを目標に指導を行っています。どちらの教室も疾患と治療法の理解、病態の把握と治療意欲の向上を目的としており、とてもわかりやすいと患者から好評を得ています。

地域医療機関との連携、リウマチ・膠原病専門医研修施設として

これからますます高度化するリウマチ・膠原病診療には、かかりつけ医・地域医療機関と専門・総合医療の受けられる当センターとの連携が重要です。当センターは福岡地区のリウマチ診療基幹施設として中心的な役割をになっています。福岡リウマチ懇話会、九州リウマチ学会において治療成績の情報公開を、新しい薬物療法に関しては、福岡薬物療法フォーラムで随時情報発信・交換をおこなっています。今後日常診療の場でもさらに密接な連携医療をおこなっていこうと考えています。教育面では日本リウマチ学会認定教育施設として、毎年多くのレジデント・研修医の指導をおこなっています。また研究面では厚生労働省班研究の一環として免疫異常ネットワーク(iR Net)の中で、リウマチの臨床疫学や治験推進に向けた研究・情報交換を開始しています。これらをもとにリウマチ・膠原病の臨床研究と先進的医療をさらに推進したいと考えています。

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