消化器センター

消化器癌に対する化学療法

消化器センターにおける化学療法は、手術後の追加治療の他に切除不能進行・再発消化器癌が対象となります。食道癌、胃癌、大腸癌を中心に対し手術による根治切除が期待できない場合に、第一選択肢として化学療法を提案させていただいています。
全国的にみても比較的治療症例数が多い当センターでは、新しい治療方法を確立あるいは探索するために積極的に治験や臨床試験に参画しています。患者さんにご協力いただきこれらの臨床データを積み重ねることで、化学療法は、科学的根拠に基づいた医療(evidence based medicine, EBM)の実践の場となっています。最近ではこれらの臨床試験の結果から各癌腫における標準的化学療法が提示され、有効性が期待できる抗癌剤−key drugs−も明らかになって来ています。
当センターでは各癌腫に対して標準治療をベースとした治療を行っていますが、患者の皆様個々の全身状態、生活環境に応じた治療計画をたてて臨機応変にマイナーチェンジをしています。臨床試験の症例選択基準に該当する患者の皆様には、漏れなく臨床試験に関する説明を行い、ご協力を仰いでいますが、最終的な参加の可否は患者の皆様の自由選択となります。新しい治療法を含めた多数の化学療法の選択肢を準備して、患者の皆様と相談しながら治療を進めております。
外来での点滴は外来総合治療センターという化学療法専門の施設で行います。化学療法に精通した専任スタッフ(医師、看護師、薬剤師、臨床試験コーディネーターなど)が患者の皆様と相談しながら安全に治療を行っています。

1)食道癌

食道癌に対する化学療法は、現在、5-フルオロウラシル(5-FU)、シスプラチン(CDDP)を中心とした多剤併用療法が中心です。最近ではこれらにタキサン系抗癌剤(Taxane; 特にドセタキセルdocetaxel, DOC)の有効性を示す臨床試験の結果が報告され、この3剤を組み合わせるDCF療法が標準治療として期待されています。

2)胃癌

胃癌では術後補助化学療法としてティーエスワン(S-1)内服を1年間、切除不能進行・再発癌に対する標準治療としてS-1+CDDP療法が認められており、これらを中心とした治療計画に基づいて主に外来通院治療を行っています(図1, 2)。いずれも当センターも参加した我が国における大規模無作為比較対照臨床試験の結果に基づいたものです。現在ではさらに臨床試験(カッコ内に名称)に参加してS-1+パクリタキセルpaclitaxel(PTX)(TASC trial, SAMIT trial), S-1+DOC(九州大学KSCC, JACCRO-GC03), S-1+イリノテカン(CPT-11)(JACCRO-GC05)などの有効性を検討しています。


3)結腸・直腸癌

大腸癌に対する化学療法はこの数年でオキサリプラチン(L-OHP)と分子標的薬剤の登場によって劇的に進歩しました。L-OHP, 5-FUおよびロイコボリン(LV)による多剤併用療法であるFOLFOX療法は大腸癌の標準治療として登場し、期待通りの有効性を示しています(図3, 4)。さらにFOLFIRI療法、mFOLFOX6療法、ベバシズマブ(BEV)、セツキシマブなどの分子標的治療の導入によって平均生存期間が3-4倍に延長しています。これらの標準治療はいずれも点滴で行われていますが、内服によって同程度の治療効果が得られる可能性がある治療も治験として導入しています。