患者の皆様向け**
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▼診療実績
 2009年(1~12月)の膠原病内科診療患者数は,入院591名(入院患者実数376名),外来(再来)1262名,新規特定疾患申請数42名,継続数442名でした(表1)。治療に関してはステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン500mg/日以上)施行28名(37回),血液浄化療法(血漿交換療法/免疫吸着療法)6名(のべ27回),白血球除去療法4名(21回)でした。
 関節リウマチの臨床に関しては,2009年10月にアメリカリウマチ学会の診断基準が22年ぶりに改訂されたことが特筆されます。1987年の基準は,罹病期間が平均7.7年の関節リウマチ患者262名から抽出された所見を基礎に作成されたため,診断されるまでに時間を要し(6ヵ月で50%,2年で80%,5年でようやくほぼ100%),早期関節リウマチの診断が困難であることが指摘されていました。また,その間に骨破壊が進行することが危惧されていました。新基準は,より早期の抗リウマチ薬による治療開始が必要な患者を同定することを目的に作成されました。腫脹関節が1つで,かつ骨びらんがあれば,それだけで関節リウマチと診断することができます。また骨びらんがない場合でも関節病変,血清学的因子,滑膜炎持続期間,急性期炎症反応の各項目のスコアリングをすることにより診断が可能となり,早期よりの治療開始が可能となりました。
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 しかし欧州コホートを中心に作成された新基準が,日本を含むアジアの人種においても有効かどうか,今後十分検討する必要があります。現在,日本リウマチ学会は診断基準検証委員会を設置し作業を進めていますので,近い将来に見解が明らかにされる予定であります。しかし,世界的には今後の関節リウマチの診断は,新基準を用いる流れになることが予想されます。また1987年の旧基準との併用をしないことが前提とされています。
 治療に関しては,生物学的製剤の最近の進歩は目覚しいものがあります。現在,TNFαをブロックするインフリキシマブ(レミケード),エタネルセプト(エンブレル),およびアダリムマブ(ヒュミラ)と,IL6をブロックするトシリズマブ(アクテムラ)が臨床で用いられています。2009年の当科における生物学的製剤使用患者数はインフリキシマブ34名,エタネルセプト26名,アダリムマブ17名と,トシリズマブ5名でありました。また2009年までの累積使用者数はインフリキシマブ48名,エタネルセプト39名,アダリムマブ17名と,トシリズマブ6名に上ります。
 全身性エリテマトーデスに対する治療は副腎皮質ステロイド剤が基本となります。軽症であればプレドニゾロン10mg/日,中等度であれば30mg/日,重症例では50~60mg/日を投与します。中枢神経ループスやループス腎炎など特に活動性が高い場合はステロイドパルス療法,シクロフォスファミドなどの免疫抑制剤,免疫吸着療法,血漿交換療法が適応となります。ステロイドパルス療法は血小板減少やループス腎炎などの重症例6名に施行しました。またシクロフォスファミドパルス療法は中枢神経ループス2名,ループス腎炎5名に対して行いました。
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表1:膠原病内科における2009年診療患者数
疾 患
外来患者
入院患者
全身性エリテマトーデス*
236
42
関節リウマチ
459
139
悪性関節リウマチ*
9
8
若年性特発性関節炎*
1
0
血清反応陰性脊椎関節症
22
6
掌蹠膿疱症性骨関節症
5
0
その他の関節炎
26
9
線維筋痛症
2
0
全身性強皮症*
115
37
多発性筋炎*/皮膚筋炎*
75
22
混合性結合組織病*
58
13
顕微鏡的多発血管炎*
20
12
結節性多発動脈炎*
11
6
アレルギー性肉芽腫性血管炎
10
6
大動脈炎症候群(高安病)*
8
3
巨細胞性動脈炎
7
2
ウェゲナー肉芽腫症*
2
2
その他の血管炎
4
0
好酸球性血管浮腫
1
0
成人発症スチル病
22
10
リウマチ性多発筋痛症
33
12
原発性シェーグレン症候群
50
12
原発性抗リン脂質抗体症候群
3
0
ベーチェット病*
47
17
パルボB19感染症
0
0
甲状腺疾患
1
0
血液疾患
21
6
その他
14
12
総 計
1262
376

(*厚生労働省特定疾患)
 
さらに全身性エリテマトーデス合併妊娠症例を4例経験し,婦人科,小児科と協力して対応しました。強皮症は確定診断の目的の皮膚生検を含めたクリティカルパス入院が主ですが,皮膚硬化が全身性に及んだ初発例に対してステロイド中~大量(PSL0.5~1mg/kg)療法を3名,シクロフォスファミドパルス療法を1名,合併する間質性肺炎に対してステロイドパルス療法+シクロフォスファミドパルス療法を1名に施行しました。多発性筋炎/皮膚筋炎も合併する間質性肺炎が問題となります。特に急速進行性のDAD(diffuse alveolar damage)型の間質性肺炎は治療抵抗性で予後が厳しい状況です。また他の膠原病に比べ,再発例が多い傾向が認められます。初発あるいは再発難治例にステロイドパルス療法6名,シクロフォスファミドパルス療法3名,その他にシクロスポリン療法,メトトレキサート療法を施行しました。血管炎症候群はチャペルヒル会議での分類が浸透し,診断症例が増加している印象です。ステロイドパルス療法を顕微鏡的多発血管炎1名,アレルギー性肉芽腫性血管炎3名,シクロフォスファミドパルス療法は顕微鏡的多発血管炎3名,アレルギー性肉芽腫性血管炎4名に施行しました。
 当科における患者教育は膠原病教室が主体となります。膠原病教室は,8階東病棟リウマチ膠原病センターにおけるリウマチ教室の一環として,隔週金曜日の午後に開催しています。膠原病の全般的概説の後に,入院患者一人一人の検査結果や治療内容,さらには日常生活に関する注意点について説明と質疑応答を行い,リウマチ・膠原病と長く上手につき合う生活ができることを目標に指導を行っています。さらに,患者団体との交流として,日本リウマチ友の会福岡支部医療講演会・療養相談会(2009年10月11日)に出席し,関節リウマチ-薬物療法の進歩と合併症管理について講演を行いました。また第18回全国膠原病友の会福岡県支部交流会(2009年8月2日)に出席し,医療相談に参加しました。
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